安西とは・・・



わが宗祖伝教大師さまは、比叡山で修業され、中国天台山に登り法華経を中心とした天台の教えを極め、天台宗を開かれました。そして、仏法により国土と国民を護るため、日本を六区に分け、各地区に一基ずつ宝塔を建てることを計画されました。これを六所のの宝塔と申し上げます。


六所の宝塔とは、諸国縁起に六処宝塔縁起云々として


安東 上野 宝塔院 在上野国緑野郡云々
安南 豊前 宝塔院 在豊前国宇佐郡云々
安西 筑前 宝塔院 在筑前国
安北 下野 宝塔院 在下野国都賀郡
安中 山城 宝塔院 在下叡山西塔院云々
安総 近江 宝塔院 在比叡山東塔院


の記録が残っています。


伝教大師さまは、この宝塔に法華経ー千部ずつを収め、日本の国を「安鎮」されようとなさったのです。そして、各国の宝塔院が、それぞれの地方での、活動の拠点となって、日本全国に天台の教えが広まることを願われました。


この六所の宝塔のうち「安西筑前宝塔院在筑前国」というのが、現在の太宰府市内山に建てられたもので、今では、竈門神社下宮に残る礎石がその跡といわれております。古い記録にある、「渡海成就のために法華経一千部八千巻を写された」(別伝)、「竈門山寺の分塔、承平3年造立が終った」(太宰府牒)という記載が、そのことを物語っています。


このホームページに「安西」と名付けたのは、九州西教区のほぼ中心にある六所宝塔の遺跡にちなんだものです。


1200年前、伝教大師さまが、この宝塔に託された願いを少しでも伝えることができ、「我が志を述べよ」とさとされた、お大師さまのみ心に、いささかなりとも、添いたてまつりたいとの願いからです。


時代は変わっても、ひたすら浄仏国土の実現をめざされた伝教大師さまを宗祖と仰ぎ、一隅を照らす菩薩の行を推進する天台宗です。どうか進んでご帰依いただくとともに、身近な寺院の活動をお伝えしますので、ご参拝案内の一助としてご利用いただくことを願っております。

~このご案内は、山家学報第16号所載、「六所宝塔の真意義」と題する清田寂栄師の論文をもとに作成しました~