普門寺

元寇の古戦場小茂田

普門寺.psd

御本尊

聖観世音菩薩

年中行事

大般若祈祷会(一月)・両彼岸会(三月九月)・施餓鬼会(八月十三日)

縁起

小茂田は、対馬の西海岸にあり、古くから大陸と本土をつなぐ交通の要路として栄えた。元寇のおり、宗助国率いる数百の武士が討ち死にし、その霊を祀るため小茂田浜神社が建立された。また、傳教大師様が、入唐求法の旅よりご帰国の際、着船されたと伝えられる阿連(あれ)の集落は、ここから数キロの所にある。当寺の開創は、天明弐年四月鈴木家菩提寺として建立。当初は、曹洞宗の寺として開山され代々鈴木家が開基として護持してきたが、明治の廃仏毀釈のより、一時廃寺。明治二十七年、小茂田村民の要望により、壱岐より、原野揖譲師を迎え天台宗の寺院として再建された。その後も鈴木家を開基として、小茂田村民のほとんどが檀徒となり現在に至る。現在の本堂庫裡は、昭和四十九年、十五代住職部原徳昭師の代に新築されたものである昭和六十年檀徒一同の発起により、点在していた個々の墓地を整理し、境内横に大規模な霊園が建設され景観を一新している。なお、『対馬島誌』には、宗助国の法号を普門寺殿と記したものがあると書かれている。

交通アクセス

ス厳原港車三十分対馬空港車四十五分

住職の閑話

持たざる者の七施

心の中では、人に施すことの大切さを知っていても何も施さない人がいる。こういう人は施すことが出来ないのではなく施すことを知らないのだと思う。仏教ではそういう人も出来る施しが七つあるとして『無財の七施』を説いている。まず第一が心から人に親切にし世話をよくすること。第二には人の悲しみや喜びを自分のものとすること。第三には人には優しい微笑で接すること。第四には人に慈しみ、深い眼差しでみること。第五には人には真心のこもったよい言葉で語りかけること。第六には人の心にゆとりをあたえること。第七には人に譲り合いの心を持つこと。以上の七つの施しは、たとえ自分に財力や労力や能力がなくても誰にも出来ることで、周囲の世界を明るく豊かにする無上のものであるという。これはまさに傳教大師の教えの中の『忘己利他』『一隅を照らす』の根本理念でもある。