「以一味雨潤於人華」(いいちみうにんのにんけ)

一味の雨をもって人華を潤す(法華経)

この語は、法華経の第五章薬草諭品の中にあります。

法華経は、釈尊の説かれた経典の中で、最もよく釈尊のお心を解き明かした最高の経典として天台宗では尊崇しています。この中で釈尊は、すべての人が仏となれること、そしてそのための修行の道を説かれ、釈尊一代のご教化はこの教を説くためであったことをいろいろな喩えでとかれており、この語の「一味の雨」とは法華経の教えのことであり、「人華を潤す」とは草木が雨の恵みを受けて繁茂し開花結実していくさまに諭えて、人々の仏性(仏となるべき本性)が法華経という法雨によって、花開き実を結んで成仏の目標に到達することを説かれたものです。

 この章の中で釈尊は、雨は一味平等に草木に注がれるが、草木には大小さまざまの種類があって、それぞれが分に応じて生育していくように、釈尊もまたすべての人に平等の教えを説かれつつも、その教化の方法は、人それぞれの性質、才能に応じて最も正しく適切な方法でお導きになって、人々をお救いになられたと説かれています。この法華経の教えは現在の教育のあり方にも大きな示唆を与えるものといえましょう。伝教大師は、この教えによって、多くの名僧をお育てになったのです。

※天台こよみ法話集より