以怨報怨怨不止

以徳報怨怨即尽

(伝述一心戒文)

 以怨報怨怨不止以徳報怨怨即尽」・・・怨みをもって怨みに報ゆれば怨みやまず、徳をもって怨みに報ゆれば怨み即ちつく

 この語は、伝教大師様のお弟子の光定法師(こうじょうほうし)が書かれた「伝述一心戒文」の中に残されているお大師様のお言葉です。

 お大師様は四十四、五歳の頃、当時護国の三部経と呼ばれていた「法華」「仁王」「金光明」の三つのお経を毎日読誦、講説して、日本の国を守ることを発願されました。それには、日本国中の神々をはじめ、国王、大臣等の霊をしづめ成仏させることが肝要と考えられました。その中で宏勝、命延という二人のお弟子の霊の鎮魂を願って唱えられたのが、この語であります。お大師様はこの語につづけて「五蘊皆空」という「般若の空」の道理に目覚めよと申されております。

 私どもは日常生活の中で、思わぬ誤解や非難中傷等によって心を傷つけられることが多々あります。そんな時、相手を怨み呪う前に、静かに仏前で合掌礼拝をして心をしづめておりますと、すべては仏様がご存知である、人間同士の争いに心を砕くことが以下におろかなことかを悟らせていただくようになり、相手を許す心にもなってまいります。そして、この心が相手にも通じて互いに心をとけあうようにもなってまいります。このお言葉を、私どもの心を高めるお訓しとして戴きましょう。                    合掌

(天台こよみ法話集)年頭法語より

 


 

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