妙覚院

国中天台一宗頭人

77.jpg 77_0.jpg 77_1.jpg

御本尊

愛染明王

年中行事

二月一日星祭・三月彼岸会・八月十七日施餓鬼会・十月一日護摩供祈祷会

縁起

北に背振の山々が連なり、南に広がる筑紫平野には穏やかに流れる筑後川を眺めることができる。福岡県久留米市、佐賀県鳥栖市と大きな街に隣接しながらも、今なお緑豊かな当山は「千の栗(くり)が逆さに生った」という古い言い伝えから「ちりく」山と呼ばれ、佐賀県の東の端に位置する。当院の歴史は一千二百年以上遡り、聖武天皇・神亀元年(七二四年)の開山と古文書に記されている。その時妙覚院は、大分県宇佐神宮より勧請された千栗八幡宮の神宮寺として、「千栗山弥勒寺妙覚院八幡宮」と称し、本尊に弥勒菩薩を祭った典型的な神仏習合の形態を取っていた。その後月日の流れの中、藩政時には藩主鍋島家の祈願所となって寺領三百二十七石を賜り「国中天台一宗頭人」として隆盛を極めた。現在の伽藍は昭和四十四年の火災で寺院の全てを焼失した後に、当山檀徒各家、特にはフランスベッド株式会社前会長の故池田実氏の協力と、教区内寺院や関係者各位のお力添えによって建立されたものである。毎朝七時に、世界平和・佛日増暉を祈る鐘の音が響き渡る傍らでは、近年遷化した先代順中和尚開苑の霊苑墓地に、毎日多くのお墓参りの方が訪れ先祖供養と安らかな日々が祈られている。

交通アクセス

JR鹿児島本線久留米駅よりタクシー十分。※西鉄バス40番「千栗八幡宮前」バス停にて下車・徒歩十分。ともに千栗神社裏参道を目指してご来寺下さい。

住職の閑話

大海に浮かぶ流木の穴に目の見えない亀の頭が偶然にもすっぽりはいってしまう…。このような稀有な出来事がおこる確率でめぐり合うことができるのが仏教である。お釈迦様は、このありがたい教えを聞くことができる人間に生れた喜びを大切にしなさいと説かれています。生命あるもの全てを指す「衆生(しゅじょう)」という言葉は、人間以外の動物、植物、肉眼では見えない微生物までも含めています。その中で人として生まれる割合いとなれば天文学的数字になるでしょう。しかしながら、奇跡とも呼べる自分の存在、そして仏教との巡り合いはただ心に留めておくだけでは何の意味もありません。無限の時の流れの中で人生はほんの限られた一瞬でしかありませんから、「百千萬劫難遭遇」と詠われる意味を良く考え、その喜びと感謝の気持ちを日々の充実した暮らしに変える事が精進であり仏道の第一歩となるでしょう。